結論から言うと「柴ちゃんは「解散ライブ以来」という表現を繰り返して、歌いながら泣いていた。きょう振り返る1年は、長い1年」ということに集約される。昨年11月のイベントが「ライブ」ではなかったという認識が意外だったけれども、そのことに柴ちゃんの歌に込める気持ちが現れていた。
メロン記念日の4人の中で、いちばん芝居が上手いのは柴ちゃんだと思っていた。3作まで作られた『かば』の中でも(残念ながら、自分はこの芝居を素直に好きとは言えなかったのだが)もっとも幅の広い演技を見せていたのが柴ちゃんだったし、ほかの客演でもしっかりと存在感を示していた。その柴ちゃんが演技をすることについて苦しみを感じているとは、メロン記念日解散直前まで知ることができなかった。
同様に、柴ちゃんの歌うことへの渇望も、わかっていなかった。
1曲目の「ヒマワリ」で、言葉に詰まって歌えなくなっていた。それを初め、単に歌詞を飛ばしていたのだと思っていた。柴ちゃんは泣いていたのだった。本人の口からそうした言葉が出て、ようやく歌に賭ける柴ちゃんの気持ちを感じ取ることができた。ようやく。まったく、鈍い。
メロン記念日だった4人には、それぞれが思うように、やりたいことをやりたいようにやっていってほしい。その姿を見ていたい。バックバンドを従えて歌う柴ちゃんを見ていて、そのささやかだけれど勝手な願いは叶えられていたと思った。
解散からの1年は、あっという間だと感じる一方で、あまりにもたくさんのことがあった。柴ちゃんに新たに記念日ができるまで、1年以上かかった。そのことに多くの意味を与える必要はない。でも、記念日が生まれることによって、10年間をさらに大切なものと思うことは構わないだろう。
以下、補足。
- 「ヒマワリ」という曲名と、「大谷雅恵 a.k.a. ひまわり」との関係は、気にするなって言われても気になっちゃうよね…
- 熊木杏里さんの歌とギャップのあるサバサバトークがおもしろかった。柴ちゃんの言うとおりのすてきなお姉さん。「楽天の聖澤選手が盗塁王なのは私のおかげ」という発言は、たぶんトークでいちばん沸いたところだったんじゃないかな。歌をCDでも聴いてみたい。
- BiSをちゃんと観たことのあるメロンヲタってひょっとしたら自分だけ?などと思った。メロンヲタはBiSではしゃぐかな?と予想したけどそうはならかったみたい。メロンヲタは、「柴田あゆみ」を観に来ていた、ということなんだろう。単純に。
- つまりこれは「メロン現場」だった。左前を中心に。それがわかっていなかったので定位置だった「左前の後ろ」ではなく右前に陣取ってしまった。いつもの場所からの景色を見てみたかったとも思う。