2016年12月3日土曜日

i☆Risという向こう岸[2]

不思議と悔しいという気持ちは抱かなかった。彼女たちみずから話題にしていたが、i☆Risの6人はみなすでに成人しているということも大きいのかもしれない。思うに、芸能活動への「覚悟」は年齢と正比例するのではないか。グループ活動をしながらやりたいことを見つけるというあり方はここ数年のうちに珍しくなくなったが、中高生が言うのと二十歳が言うのとでは当然意味が異なる。グループに仕立てられてしまったのが幼いころであれば、活動の中で自分の針路を定めていくのは必然的なことだ。一方、ある程度(どの程度?)の年齢になれば、グループで活動していくことに覚悟が必要になるだろう。6人が告白した葛藤からもそれが察せられる。若井友希の「i☆Risはわたしのやりたいことではなかった」というひと言がそうだし、さらに芹澤優が「わたしは一人でアイドルをやりたかった」と若干おちゃらけて言ったのはむしろ茶化そうとしている分よけいに切実なものを感じた。周囲の人間の思惑、戦略を感じ取りながら、傍目には恵まれていると見られつつ、決して安易でも平坦でない道を進むことを選び取る―そんな営為を若い人に課すなど酷なことだ。幼ければ幼いほどなおさらだ。満員の武道館は、7000人も集っているにもかかわらず狭く見えた。